学生の声

【後編】ポリアモリーでもある私 ~演劇に影響を受けて~

【中編】ポリアモリーでもある私 ~演劇に影響を受けて~https://tasukake.com/article/voice/tw14/5881/ 今回はくるみさんのインタビュー【中編】...

今回はくるみさんのインタビュー【後編】です。

中編では、くるみさんがポリアモリーで居続ける理由やポリアモリーの人は嫉妬するのかといった話をしてくれました。

後編では、ポリアモリーから少し話題が変わり、セックスの捉え方や日本の性教育の在り方について語ってくれた彼女のお話をお届けします。

セックスも身体表現の1つ、身体が発するメッセージがある

―なんだかこのまま行くと永遠に演劇論が展開されて、セクシャルマイノリティの人のインタビューじゃなくなってきてしまいそうなので(笑)(それはそれで楽しいけど…。)

話を元に戻して、今度はくるみさんがパートナー(恋人)に求めるものについてお聞きしたいと思います。

私の場合、まずはもう少し深い関わりを持てる人が欲しいっていうのが出発点にあるかな。

家族とあんまりそういう関係じゃないから。

―でもそれだったら、別に恋人でなくても友達とかでもいいわけですよね。

深い話ができる友達がいれば、孤独感みたいなものはある程度満たされるような気がするんですが。

それとも友達の関係では満たされない何かがあるのかな?

もちろん話したりするのも楽しいんだけど、やっぱり身体の関係が欲しいのかな。

言葉で発するのとは別のメッセージがあるんだよね、身体って

―別のメッセージ?

うん、言葉だとさ、思い通りに自分を演出できると思うんだよね。

―でも身体の関係にはそういう嘘っぽさがない? 

うん、なんていうのかな…上手く言えないけど。

今、私、身体表現にもすごい興味があって。

だからセックスも1つの身体表現っていう気がしてる。

身体を即興的に動かすダンスみたいな、そういう感じ?

だから、ただ性欲を満たす行為でもなく、愛情を確かめるっていう行為でもなくて、セックスっていう、その人の身体の動きも含めた交流が私は好きなんだと思う

―今までそんな風にセックスを捉えたことなかったです。

とても面白い考えですね。

やっぱりくるみさんの中には演劇っていうのが大事な要素になってるんだなぁ。

ね、結局、演劇の話に戻ってきちゃってる(笑)

「セックスの話はタブー」今の日本の性教育の在り方

 くるみさんが卒論で使用した性暴力についての本

ーなんか今までの人生で、セックスについてこんなに深く考えたことも、こんなに誰かと真剣に話したこともないです(笑)

あ、それで思い出したことがあるんだけど。

以前、小中学校に行って、性の多様性についての出張授業をするっていう活動とかしててね。

そこですごく気になっていたのが「あんまりセックスの話は出さないで欲しい」って言われたこと。

「女の子が好きです」みたいな話はしていいけど、小中学生に出張授業をするという中で、性的な話題は避けましょうみたいな

―それは小中学生にとって、性の話があまりにも刺激が強いからじゃないですか?

というよりは、多分、学校とか大人側からなんか言われないためだと思う。

というのも十数年前に性教育バッシングがあったから。

―性教育バッシングというのは?

性教育でちゃんとセックスのプロセスを教えようとした学校があったんだけど、それに対してものすごい反発が起きたんだよね。

それでセックスの過程は教育の中では扱わないようにしましょうっていう流れができてしまった

だから出張授業とかでセックスの話とかして「もうこの団体さんからは出張授業来てほしくないです」って言われるのをみんな恐れてるんじゃないかなと、個人的には思ってる。

―その「セックスの話はタブー」みたいな教育方針については、くるみさんはどう感じてますか?

当事者としてライフストーリーを話す中で、女の子を性的に好きって話をするとき、その好きの中には女の子とセックスしたいって気持ちも入ってるわけで

その自分の正直な気持ちを、プラトニック*っぽい好きに変換して話さなきゃいけないのは、疑問を感じる。

プラトニックとは?

肉体的な関係を求めない恋愛のことで、精神的な想いだけで恋愛していく

出典:Clover「プラトニック・ラブの意味とは?その関係を求める理由や心理も徹底解説」

https://www.minden.jp/clover/puratonikku-love/

―わぁ、難しいな、それ。

確かにくるみさんの気持ちも分かるけど、だからといって小さい子にセックスの話をしてもなぁ。

性的な感覚がまだ分かんない子は「ぽかーん」ってなっちゃう気もする。

でも、私自身、小学生の頃から全然興味あったから、教えて欲しかったー。

―そういえば当時の私も興味ありまくりだったな(

でも考えてみるとセックスの話をするのって別に悪いことではないんですよね。

それなのになぜかセックスの話は社会的にタブー視されている。

そうなのー!

あとはね、どうやって性暴力を防ぐかっていう意味でも、性教育って大事な気がする

性犯罪は学生だって全然狙われるわけだしさ。

セックスのプロセスを知らないで、「皆さん、気を付けましょうね」って言われても、どう気を付けるのって感じじゃん。

それで知識がないまま大きくなったら、性被害にあったり、逆に相手を傷つけたりすることもあるわけで。

だからセックスの話をタブー化しちゃうのは、子どもにとっても良くない気がするんだよね。

―今のお話を聞いてものすごく納得しました。

性的な話をシャットアウトすることで子どもを守ろうとする意図が大人にはあるのかもしれないけど、それで正しい知識を得ないまま彼らが先々で被害にあうことになったら、結局子どもを守ることになってないですよね。

彼らの今だけじゃなくて将来も含めて考えてあげるなら、きちんと性のことも隠さずに伝えるべきなのかもしれません。

「今、自分、どうしたい?」その声を拾って日々実践していく

 くるみさんが旅行に行った時の写真

―ではそろそろ、インタビューも終盤になってきました。

これはセクシャリティとはあんまり関係ないかもしれないんですけど、最後に、将来の夢とかこんな風に生きていきたい、みたいなものがあれば教えて欲しいです。

それよく聞かれるんだけど、毎回すごく言いたくなるのが、将来については何も考えてないっていうね(笑)

―ハハ、なんかくるみさんらしい回答(笑)

そんなビッグドリームみたいなもんないですよ(笑)

なんか将来を考えると、今の自分とすごい離れてる気がしちゃって。

だから、「今、自分、どうしたい?」っていうのを拾って、それを実行に移すっていうのをやっていきたいな

それはもう日々実行できることだよね。

スーパーに買い物行って「自分、何食べたい?」って問いかけて、自分が欲しいものを買う。

適当にタイムセールに惑わされるんじゃなくて(笑)

―あー、私は絶対にそこでタイムセールに流されるタイプ(笑)

本当は野菜が食べたいのに、タイムセールで肉売ってるから、「あぁ、じゃあお肉でもいっかぁー、肉も好きだし」みたいな(笑)

ハハハ、もちろん、私も全然できなかったりすんだけどね。

―でも、何かに流されないで、今の気持ちを逃さないようにしたいって思ってるわけですよね。

そうしたいっていうか、日々そうしようって思ってる。

 

当日は1時間のインタビューのはずでしたが、気付いた時には2時間が過ぎようとしていました。

それでも時間が経つのを全く忘れてしまうほど、くるみさんとのインタビューは濃いものでした。

くるみさんの口から語られる言葉1つ1つに、これまでの人生で積み重ねてきたものの豊かさと奥深さが感じられたのは、彼女が自分の心の声に問いかけて1日1日を大切に生きているからだと思います。

インタビュアーとインタビュイーという枠を越えて、いつのまにか一緒に何かを語りあっているような感覚。

それは私にとって、とても心地の良いものでした。

LGBTという枠を越えて、人生における大切なテーマをいくつも彼女からもらった気がします。

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!XIMIX!運営事務局
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私たちは、「全国のセクマイサークルのネットワークを形成し、持続的な活動の後押しをする」ことを目的に活動を開始しています。ここでは大学生を中心に当事者の方にインタビューをし、彼らの生の声を発信していきます。